この国(米国)の警官の多くは幼稚に抜きたがる。

いつの頃からか、米国の警官の多くは元軍人とその組織によって、敵から身を守るための軍隊式手ほどき(warrior-style training もしくfear-based training)を受けているということを知った。

「敵から」というのも「身を守るための」というのは正しくない。正確にはこうだ。

多くの警官は、守るべき市民をあえて怖がるように訓練されるようになった。結果、市民を脅威としか見ないし、市民に発砲することを少しもためらわない警官が増えた。つまり、「敵とみなした市民を制圧するため」の手ほどきだった。これにより罪もない市民(多くは黒人)が警官に撃ち殺される事件が多くなった。

そう訓練した中心人物の名は、Lt. Col.(中佐ほどの意味か?)Dave Grossman(デイブ・グロスマン)。1998年に退役した後、トレーナーとして年間300日ほども全米を飛び回り、希望する警官に軍隊式を植え付けている。

彼が代表を務める組織の名前がすごい。KILLOLOGY RESEARCH GROUP。(KILLOLOGYという言葉があるとは・・・)
https://www.killology.com/  
この組織が全米で警官向けのセミナーを開いていて、何千もの警官がほぼ洗脳に近い訓練を受けているとのこと。

この話は、Netflixの番組「Patriot Act」(2019)から拾った。

https://www.youtube.com/watch?v=km4uCOAzrbM

これは、米国で絶大な人気を誇るスタンダップコメディアンのHasan Minhaji(ハサン・ミンハジ)が、政治、社会、カルチャーに鋭く切り込んで笑いの中で問題提起をする番組だ。コメディーと聞いたとたんに肩を落とす人がいるかもしれないが、米国ではきちんと時事を批判するスタンダップコメディアンの存在が大きい。とりわけ彼は自分のネタのために政治家や大学教授をはじめ知見者に対して丁寧な取材を敢行し、裏をとった上で笑いのネタにし、おちょくり、辛辣な批判を展開する。パワーポイントを駆使して。

ハサン・ミンハジの手法はもはやジャーナリズムであることを全米も知っている。舌鋒も鋭い。だからホワイトハウスでの記者を招いた夕食会のスピーチに呼ばれもするし、カナダのトルドー首相やバーニー・サンダース、カマラ・ハリスらとも堂々と対談できる。
この「The Broken Policing System」の回でも、元警官で南カリフォルニア大学教授、警察労働組合に詳しいジョージタウン大学の教授らを取材し、また労働組合の代表の過去のインタビュー映像などを取りそろえた上で、検察が市民を殺した警官を告発しない構図などもえぐっている。

誰がこのセミナーに警官を差し向けたのか? 一部の過激で臆病な警官がセミナーを受け始めて広がり、それを警察の組合も奨励するようになってエスカレートし、市も看過したからこうなったという構図も見えてくる。

ミネアポリス市が警官の兵隊式訓練を禁止する声明を出すなどの良い兆しも一部にはあったが、これに対して労働組合の代表が、警官個人の好みと時間を奪うことはできないとした上で奨励するコメントを出す始末。。

デイブ・グロスマンの教えが効いて警官のおぞましい暴発が顕著になり始めたのが2014年とのこと。僕がこの絵の警官に出会ったのは1999年。今日のように異常な警察に変わるはるか前のまだ寝ぼけた状態だったということになる。幼稚なうちはまだましだった。

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